第2部バラッド詩

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バラッド詩とは

古くから英語圏に伝わる「伝承バラッド」の世界を100回にわたって紹介してきましたが、これを一区切りとして、第101話からは「バラッド詩」と呼ばれる物語詩の世界について書いてゆきたいと思います。

「バラッド詩」とは、一言で言えば「詩人が伝承バラッドを模倣した作品」ということになりますが、なぜこのような特殊なジャンルの作品が生まれたのでしょうか。民衆の間に伝わっていた純粋な口承バラッドや「ブロードシート」と呼ばれた新聞紙タイプの紙に印刷して売られていた「ブロードサイド・バラッド」の蒐集・出版が18世紀になって盛んになり、それとともに民族の遺産としてのバラッドの存在に多くの詩人たちが注目するようになって、自ら模倣詩を創作するということがブームになりました。ところがそれは一時的なブームに終わらず、なんと今日まで綿々と続いてきたのです。

詩人たちが伝承バラッドの何に惹かれてきたのでしょうか。ある詩人はその素朴な形式そのものが持つ可能性に惹かれ、ある詩人は不思議な物語世界が伝える人間の想像力の特異性と無限性に惹かれる等々、実に様々な理由が考えられますが、18世紀以降今日までほとんどすべての(と言って過言でない)詩人たちが模倣詩を残しているのです。それはもはや「模倣」という受動的な創作の域を脱して、各詩人独自の詩の世界を生み出しています。

100話までと違って、話が少し専門的になり、難しくなるかも知れませんが、この独特な詩の世界をうまくご紹介できれば、「詩」というものが決して難解な世界ではなくて、むしろ、面白い想像力の展開する世界だと納得いただけるのではないかと期待します。

今までは毎月一話完結のペースで書いてきましたが、今後は更にペースを落として、基本的には不定期に、そして、時代の順序も無視して、気の赴くままに様々な詩人たちの作品世界を逍遥するというスタイルを採りたいと考えています。

それでは、終わり無き逍遥の旅を、どうぞご一緒に!

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わしは 夜のように国々を渡ってゆく
わしには不思議な話す力が備わって
相手の顔を見た瞬間(とき)に
わしの話を聞くべき者かどうかがわかるのじゃ
すると その者に向かってわしの体験を話してやるのだ 
    (S・T・コールリッジ 「老水夫の物語」より)

I pass, like night, from land to land;
I have strange power of speech;
That moment that his face I see,
I know the man that must hear me:
To him my tale I teach.

(From S. T. Coleridge, ‘The Rime of the Ancient Mariner’
illustrated by Mervyn Peake)

ひとくちアカデミック情報
バラッド詩: literary ballad.  過去300年以上にわたって詩人たちが書き残してきたバラッド詩については、わたしを含めたバラッド研究会が構築したデータベース「英国バラッド詩アーカイブ」 ( The British Literary Ballads Archive )がある。今後このトークを書き進める上で言及する各詩人の情報については、すべてこのサイトにリンクを張るという方法を取りたい。


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